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感想1書いてからしばらくたってすみません。すぐ書くつもりだったのですが時間がなくって。
感想の続きを始めます。でも、今回感想というよりも、何度か見直して自分が思ったことを書くので、キャラクターの心情の考察に近いものになっているかもしれません・・・・・。
※なおこれからでてくる「」内は本編中の台詞です。
まず、音無がかなでに対して一緒に「ここに残らないか?」という気持ちに成ったのは何時からなのか?それを見てみましょう。
卒業式の答辞で音無は「今日、残る五名も今日を持って卒業します。一緒に過ごした仲間の顔は忘れてしまっても、この魂に刻みあった絆なは忘れません。みんなと過ごせて本当によかったです。ありがとうございました。」と声を震わせながら語っています。この時には自分も成仏する気でいたと思います。みんなと一緒に過ごしたことを忘れてしまうのは辛いけど、魂に刻まれた絆はあるから大丈夫。だから、5人で成仏してみんな新しい一歩を踏み出そうという気持ちでいたんだろうと思います。また、その後の成仏シーンで日向が「まぁ、俺だわな順番的に言って」といったとき、音無が「いや、俺でもいいぜ」と返しています。これから、音無も成仏する気でいたのが分かります。
音無の変化の一つめのきっかけは、その後の日向との会話のシーンだと思います。そこを抜粋してみると
音無 「良く考えたら俺、ここに来ることはなかったんだよな」
日向 「どういうことだ?」
音無 「俺はちゃんと最後には報われた人生を送っていたんだ。その記憶が閉ざされていたからこの世界にに迷いこんできた。それを思い出したから報われた人生の気持ちをこの世界で知ることができた」
日向 「そうだったのか。本当に特別な存在だったんだな。お前」
音無 「うん。だからみんなの力になれたのも、そういうたまたまのお陰なんだよ」
日向 「そっか。ま、長話も何だ。じゃ、行くわ」
親友同士の何気ない会話ですが、結構重要です。この会話で音無は”自分が報われた人生を送ってきたからこそ、みんなを成仏させることができた特別な存在である”ことに気づきます。もちろん、これはあの世界的に正しいことなのかは分かりません。ただ音無がそう感じたことは間違いないと思います。ただし、ここではまだ残ろうという気持ちにはなっていないと思います。残ろうという気持ちになったのは次のシーンだと思います。
音無 「どうだった 卒業式、楽しかったか」
かなで 「うん、すごく。でも最後は寂しいのね」
音無 「でも旅立ちだぜ、みんな新しい人生に向かっていったんだ。いいことだろう?」
かなで 「そうね。」
音無 「ん」
この後すぐ、音無は明らかにおかしな行動を取ります。下を向いたのち、次に卒業式のSSSの垂幕を見ます。最後にかなでに向き直り、「あのさ、外に出ねぇ。ちょっと風に当たりたいかなって」と言う意味ありげな台詞を言います。
まず、かなでが寂しいと言ったこと。それに、すぐ成仏肯定的な言葉で音無は返していますが、この言葉で音無の中に寂しいと言う気持ちが初めて芽生えたのではないでしょうか?生前、人のために生きると決め、死ぬ間際にドナー登録と言う形でそれを達成した彼です。あの世界でも、仲間の為と成仏作戦を行ないました。それが成功しました。でも、その結果、大切な仲間がいなくなってしまったのです。卒業式のSSSの垂幕を見るシーンの意味はそれを示しているのでしょう。音無の中で寂しさが膨れ上がってきてもおかしくはないと思います。ここで、あの世界に残っているのは自分とかなでだけです。次はどちらかの番です。最後の別離です。それも自分が愛している人との・・・・・。それを考えたら、成仏を放棄したくなってしまうのも無理はないのではないでしょうか。「外に出ねぇ」の台詞の意味も卒業式会場から出る、つまり成仏を放棄すと言う意味だと思います。
そして、外の橋上での例の「ここに残らないか」の台詞に繋がります。
外での台詞を抜粋してみると音無のどう心変わりしたのかが分かります。
音無 「あのさ、かなで、ここに残らないか?」
かなで 「えっ!?」
音無 「なんか急に思いついちまった。だってさ、ゆりや日向のように報われない人生を送ってここに来てしまうやつがいるってことじゃん」
かなで 「そうね」
音無 「そいつらまたゆりたちのようにここに居ついちまいかねない。ここでずっと苦しんで生きることに抗い続けてしまうかもしれない」
かなで 「そうね」
音無 「でもさ、俺たちが残っていたらさぁ、そいつらに今回のように生きることの良さを伝えて卒業させてやる事ができる。もしかしたら、そういう役目のために俺はここに来たのかもしれない。だからさ、一緒に残らないか?かなでが居てくれたらさぁ、こんな世界でも俺は寂しくないから。前にも言ったかもしれない。俺はお前と一緒にいたい。これから先も居続けたい。だって俺は、かなでのことをこんなにも好きだから」
音無 「好きだ」
ここで、音無はここに残る理由に、『自分はこの世界に居ついてしまう奴らを卒業させてやることができる』ことを挙げています。まさに、日向との会話で気づいたことですね。そして、それは音無の自分を犠牲にしても人の為に生きると言う生き方に合致していました。かなでと一緒に居たいと言う思いと、音無の生き方この二つが合わさったからこその豹変だったのです。
では一方、かなでの方はどう考えていたのでしょう。
かなでは成仏に前向きでした。卒業式の準備をしたり、戦線歌を作ったりと。仲良くなれたみんなと卒業するのを楽しみにしていたことが分かります。そして、3人が成仏していったあと、音無と二人になります。いよいよ自分たちの番です。ところが音無はかなでを外に誘い出し、上記の台詞を言ってかなでをこの世界に留めようとしました。かなでとしては成仏の中心人物だった音無の豹変にびっくりしたことでしょう。
そして、音無が挙げてきたここに残る理由も、かなでにとっては心を打たれるものでは無かったのです。なぜなら、音無がやろうとしていたことは、今までかなで自身がやって来たことだったからです。かなでは自分は成仏できずに、他の人達をずっと見送って来ました。それも長い間。ひょっとすると、ずっとこのままかもしれない自分と違って、成仏できる彼らを羨ましく思っていたのかもしれません。かなでにとって、あの世界は満たされたら成仏していく世界。しかし、かなで自身の成仏条件が整うことはあまりにも絶望的だったのです。ところが、奇跡が起きました。自分の成仏条件が整ったのです。この後の台詞を見るとそれが分かります。
音無 「どうして何も言ってくれないんだ?」
かなで 「言いたくない。今の思いを伝えてしまったら私は消えてしまうから」
音無 「どうして?」
かなで 「だって私は『ありがとう』をあなたに言いに来たんだから」
音無 「どういう事だよ?」
かなで 「私はあなたの心臓で生きながらえることができた女の子なの」
音無 「お!?」
かなで 「今の私の胸ではあなたの心臓が鼓動を打っている。ただひとつの私の不幸は、私に青春をくれた恩人にありがとうを言えなかったこと。それを言いたくてそれだけが心残りでこの世界に迷い込んだの」
音無 「そんな、でもどうして俺だって分かった」
かなで 「最初の一刺しで分かった。あなたには心臓が無かった」
音無 「でもそれだけじゃ」
かなで 「あなたが記憶を取り戻せたのは、私の胸の上で夢をみたから。自分の鼓動の音を聞き続けていたから」
音無 「そんな」
かなでは音無の心臓を移植され命を長らえることができたのです。そして、心臓を提供してくれた恩人にありがとうを言いたかったためにあの世界に迷いこんでしまったのです。この成仏条件の成立はまさに奇跡と言っていいでしょう。しかも、音無は卒業式の時まで成仏賛成でした。あの世界から卒業できる。しかも、恩人と一緒に。かなでにとって今日は、今までにない最高の日になるはずだったのでしょう。ところが、音無は豹変してしまいました。
二人での卒業は無理。それを悟ったかなでは音無に自分を成仏させてくれることを頼みます。当然、音無は躊躇します。しかし、それでもかなでは説得を試みます。それが、この後の台詞です。
(かなでは目を瞑り、何か決心したように開く)
かなで 「結弦、お願い、さっきの言葉もう一度言って」
音無 「はっ!そんな、嫌だ。かなでが……消えてしまう。」
かなで 「結弦お願い!」
音無 「そんなことできない!」
かなで 「結弦!」
音無 「は!うぅ……」
かなで 「あなたが信じてきたことを私にも信じさせて!」
(音無泣く寸前の顔になる)
音無 「うぅ、くぅ」
かなで 「生きることは素晴らしんだって」
音無 「うぅ、くぅ、あぁ」
かなで 「結弦」
音無 「かなで、愛してる……。うぅ。ずっと一緒に居よう。うぅ。」
かなで 「ありがとう。結弦」
音無は結局、かなでの言葉を受け入れました。これはかなでの「あなたが信じてきたことを私にも信じさせて!」「生きることは素晴らしんだって」に心を動かされたからだと思います。これは音無の成仏に対する態度そのものでしたから。しかし、自分の中に芽生えてしまった気持ちを消すことはできません。だから、「ずっと一緒に居よう」を付け加えたのだと思います。この時の音無はかなり矛盾していますが、それは仕方が無いことだと思います。人間は時として矛盾した感情を持つものです。音無とて例外ではありません。一方、かなでは、音無が望んでいる言葉を言ってくれたことで満足したのでしょう。お礼を述べています。そして、音無の言葉にお礼を言いながら、自分が本当に言いたかったことを言うのです。
音無 「ずっとずっと一緒にいよう」
かなで 「うん、ありがとう」
音無 「愛してる。かなで」
かなで 「うん、すごくありがとう」
音無 (号泣しながら)「ううううう かなでぇ。うううんうぅ」
かなで 「愛してくれてありがとう」
音無 「うううううぅ。消えないでくれ、ずん。かなで、うん。かなでぇ。うえ。」
かなで 「命をくれて本当にありがとう」
(かなでが消える。音無が倒れる)
音無 「あああっ。ああぁ。くぅぅぅ。」
音無 (空へ向かって)「かなでぇ~!!」
かなでは「命をくれて本当にありがとう」と言って消えます。かなでが決して言えるとは思っていなかった言葉。それが言えたのです。そのとき、かなでは成仏することができました。
一方音無は、愛する人を失った悲しみにくれます。その後、彼はどうなったのかBパートでは分からない演出になっています。
ただEDで全員の絵が出て、順次消えていき、最後に音無も消えました。音無はどれくらい時間がたった後か分かりませんが、この悲しみを乗り越えて、『生きることは素晴らしいこと』に気づき、再び転生することを選んだのではないかと思います。Cパートでは転生後の二人と思われる人物が出ています。
こうやって、何度も見なおして追って行くと、細かい演出とかに気づき、理解できるアニメであったなと思いました。しかし、一度見ただけである程度分かる作りにして欲しかったなと思いました。 重要なシーンに「一番の宝物」を流したりと面白い演出をしているのですが、どうもうまく物語とリンクしていないような感じがしました。そこが残念です。
あと、他のSSSメンバーはどうなったのかが描かれていなかったのが不満でした。尺が足りないからカットされたのでしょうが、もったいなかったです。7巻に収録される特別編でやってくれると良いのですが。どうなのでしょうね?